書籍『入江泰吉の詩情世界 万葉大和路』
書籍・プロダクト 企画開発
【入江泰吉の写真は、日本人が心に抱く奈良の印象そのもの】
1992年に亡くなった後も、奈良の写真家として絶大な人気を誇る入江泰吉。
彼の撮影した奈良の風景こそが、多くの日本人が心に抱く奈良の印象そのものといっても過言ではないでしょう。
生涯を通じて奈良を撮影し続けた入江泰吉は、晩年、自伝の中で大和路の魅力を次のように語っています。
「大和路のどこに、それほどの魅力があるのか、と聞かれれば、それは自然と歴史と、歴史の中に生きた人々のドラマ、と応えるよりほかないであろう」
【入江泰吉の写真と、万葉歌126首でつづる】
文字だけでは読み解きにくい万葉歌ですが、写真と組み合わせることでより身近に感じることができます。
それぞれの歌には現代語訳と英訳を掲載しています。
読み進める順番に決まりはありません。
好きな写真、好きな歌、どのページから開いてもかまいません。
「万葉集って難しそう」と思っている方にこそ手に取ってほしい一冊です。
【その風景に、その歌に、万葉びとの思いを感じ取る】
自然を美しいと感じる心、誰かをいとおしく思う気持ちや、大切な人を亡くした悲しみなど万葉集に詠まれた人々の心のうちは、現代人にも共通する、普遍的な感情です。
古都の情景を思い浮かべながら、現代を生きるわたしたちの心にもフィットするフレーズを探してみませんか。
『入江泰吉の詩情世界 万葉大和路』
写真|入江泰吉
編|入江泰吉記念奈良市写真美術館
協力|奈良県立万葉文化館
体裁|163mm×121mm 総288頁
定価|本体2800円+税
ISBN978-4-8381-0603-5
発行 光村推古書院株式会社 http://www.mitsumura-suiko.co.jp/
・本書の万葉集の読み下し本文、ならびに現代語訳は『新編 日本古典文学全集 萬葉集』全4 冊(校注・訳者―小島憲之 木下正俊 東野治之 発行―小学館 1994年~1996年)より転載しています。
・本書の万葉歌、ならびに題詞の英訳は“A Waka Anthology VOLUME ONE The Gem-Glistening Cup”by EDWIN A. CRANSTON(1993 Stanford University Press)より転載しています。
【写真家プロフィール】
入江泰吉(いりえ たいきち)
1905(明治38)年、奈良県奈良市に生まれる。長兄より譲り受けたカメラで写真をはじめる。
1931(昭和6)年、大阪に写真店「光藝社」を開く。
1940(昭和15)年、世界移動写真展で「春の文楽」が一等賞を受賞、文楽の写真家として活躍。
1945(昭和20)年3月、大阪大空襲で自宅と店舗を焼失、奈良へ引き揚げる。同年11月17日、疎開先から戻る東大寺法華堂仏像を目撃、アメリカに接収されるとの噂を聞き、写真に記録することを決意。以来、奈良大和路の仏像、風景、伝統行事の撮影に専念。晩年には「万葉の花」を手がけるなど約半世紀にわたって奈良大和路を撮り続けた。『大和路』『古色大和路』『萬葉大和路』『花大和』『佛像大和路』など、大和の美をとらえた写真集は多数にのぼる。
1992(平成4)年1月16日、86歳で逝去。同年4月、入江泰吉の全作品を収蔵した奈良市写真美術館が開館。
第24回菊池寛賞受賞、勲四等瑞宝章受章、第19回仏教伝道文化賞受賞他。